実体験から考える、制振ダンパーという備え
耐震等級3の建物にいても、正直「しっかり揺れた」と感じました
2026年1月6日。
島根県沖を震源とする 震度5強の地震 が発生しました。
その時、私は姫路にある 建築工房いろはの事務所の2階 で仕事をしていました。
この事務所は、もちろん 耐震等級3 で建てています。
倒壊するような不安はありませんでした。
ただ、率直な体感としては、
「想像していた以上に、はっきり揺れを感じた」
というのが正直な感想でした。

2026年1月6日 島根県沖を震源とする震度5強の地震。姫路でも揺れを感じました。
なぜ姫路でも揺れを強く感じたのか
この地震は、長周期地震動 の影響があった可能性があると言われています。
長周期地震動の特徴は、
- 揺れがゆっくり
- その分、建物全体が大きく揺れる
という点です。
耐震等級3は、「倒壊しない」ことを目的とした非常に優れた基準です。
ただし、
- 揺れを感じない
- 建物が動かない
という意味ではありません。
特に2階以上では、
「建物に揺らされている感覚」を強く感じることがあります。
この体験から、私は改めてこう感じました。
耐震等級3は命を守る構造
でも、揺れそのものを抑える仕組みとは別なのだと。
倒壊しなくても、家は少しずつダメージを受けていく
日本に住んでいる以上、
- 震度2
- 震度3
- 震度4
といった 比較的小さな地震 を、
これから何十年もかけて何度も受け続けることになります。
倒壊はしなくても、
- 構造材の接合部
- 壁や天井
- 内装の歪み
- 目には見えない部分
こうしたところに 少しずつ負担が蓄積 していきます。
このとき、ふと頭に浮かびました。
この「揺れ」を、少しでも減らす方法はないのか?
実際に体験して分かった、制振ダンパー「エボルツ」
その答えを、私は 体験として知ることになります。
2025年1月28日。
長野県にある ホクシンハウスさん で、
制振装置 「エボルツ」 の実験装置を体感させていただきました。
この実験では、
- 地震発生装置で 震度3を再現
- 制振ダンパーを 効かせていない状態
- 制振ダンパー エボルツを効かせた状態
この2つの状態を、
実際に装置の上に乗って体感 しました。
▼ 私自身が体験した制振ダンパー実験の動画です
エボルツを「効かせた瞬間」に感じた、はっきりした違い
正直に言います。
体感として、違いは非常に分かりやすかったです。
制振ダンパーを 効かせていない状態 では、
- 揺れがダイレクトに体へ伝わる
- 実験装置の動きに、そのまま振り回される感覚
- 「地震が来たら、こう揺れるだろうな」と素直に想像できる揺れ方
という印象でした。
一方で、制振ダンパー エボルツを効かせた状態 になると、
- 揺れ始めてすぐに、体感として揺れが一気に小さくなる
- 数秒で ほとんど揺れを感じなくなる
- 「あれ?もう揺れていない?」と感じるほど早く落ち着く
という明確な違いがありました。
同じ震度を再現しているにもかかわらず、
エボルツを効かせるかどうかで、揺れの伝わり方がここまで変わる
これを 自分の体で理解できた ことは、非常に大きな経験でした。
制振ダンパーは「耐震の代わり」ではありません
ここで誤解してほしくないのは、
- 制振ダンパーは耐震の代わりではない
- 耐震があってこその制振
という点です。
- 耐震:建物を強くして、倒壊を防ぐ
- 制振:揺れを吸収し、建物への負担を減らす
役割はまったく違います。
だからこそ私は、
耐震等級3 + 制振ダンパー
という考え方に、大きな意味を感じました。

南海トラフ地震に備えるという「現実的な考え方」
南海トラフ地震は、
「いつか必ず起こる」と言われています。
不安を煽りたいわけではありません。
ただ、
- 一度きりではない大きな揺れ
- その後も続く余震
- 長周期地震動の可能性
こうしたことを考えると、
倒壊しないことに加えて
揺れによるダメージを減らすこと
が、これからの家づくりでは重要だと感じています。
二つの体験から得た、私自身の気づき
1月6日の島根県沖地震。
1月28日の制振体感。
この二つの体験を通して、
私の中で家づくりの考え方が一段深まりました。
- 耐震等級3で命を守る
- 制振で建物の劣化を抑える
- 結果として、住まいの快適性が長く続く
これは コストの話ではなく、住まいをどう考えるかという話 だと思っています。
これから家づくりを考える方へ
制振ダンパーは、必ず採用しなければならないものではありません。
ただ、
- 知らずに建てる
- 知ったうえで選ばない
この二つは、大きく違います。
私自身が体験し、納得できたからこそ、
「こういう選択肢があります」 という形でお伝えしました
まとめ|体験して初めて分かったこと
- 耐震等級3でも揺れは感じる
- 小さな地震の繰り返しは家に負担をかける
- 制振は、家を守り続けるための考え方
これからも建築工房いろはでは、
自分たちが体験し、納得できたものだけ を
家づくりに取り入れていきたいと考えています。