こんにちは。姫路市を中心に注文住宅やリノベーションのお手伝いをしております、建築工房いろはの代表、大島です。
家づくりを考え始めると、間取りやデザイン、性能や価格など、楽しみながら決めていきたいことがたくさんあります。その一方で、「住宅業界にはクレームやトラブルが多い」という話を、どこかで耳にしたことがある方もいらっしゃるかもしれません。実際、住宅に関する相談は、公的機関にも毎年数万件単位で寄せられています。しかも、それは決して中小の会社に限った話ではありません。
この記事では、公的な統計データをもとに、住宅業界で実際にどのような相談やトラブルが多いのか、そしてクレームにつながりやすい会社や担当者にはどのような傾向があるのかを、建築工房いろはとしての視点も交えながらお伝えします。家づくりを不安なものにせず、楽しみながら進めていただくための判断材料として、ぜひ最後までご覧ください。

住宅業界には、実はこれだけの「相談」が寄せられている
公的統計に見る、相談件数の実態
まず知っておいていただきたいのは、住宅に関する相談は、会社の規模にかかわらず、毎年一定数寄せられているという事実です。国土交通大臣から指定を受けた公的機関である公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センターが公表した「住宅相談統計年報2025」によると、2024年度に寄せられた電話相談の新規件数は30,812件でした。前年度に比べると5.4%減少していますが、それでも年間3万件を超える規模で、住宅に関する相談が続いていることが分かります。
内訳を見ると、新築相談が11,682件、リフォーム相談が11,920件となっており、2014年度以降の集計区分で比較すると、初めてリフォーム相談が新築相談の件数を上回りました。
また、住宅の不具合や契約に関するトラブルなど「住宅のトラブルに関する相談」が、相談全体の60.0%を占めている点も、押さえておきたいポイントです。なお、賃貸借契約や近隣関係のトラブルなど、住宅以外の内容も含めた「トラブルに関する相談」全体で見ると、電話相談全体の69.6%にのぼります。
| 相談区分 | 件数 | 構成比 |
|---|---|---|
| 新築相談 | 11,682件 | 37.9% |
| 既存相談 | 1,664件 | 5.4% |
| リフォーム相談 | 11,920件 | 38.7% |
| その他相談 | 5,546件 | 18.0% |

大手・中小にかかわらず、起こり得るという事実
この統計は、会社ごとの規模やブランドを分けて公表しているものではありませんが、これだけの件数が毎年寄せられている以上、大手であっても中小の工務店であっても、相談やトラブルは起こり得ると考えるのが自然です。「大手だから安心」「地元の会社だから不安」といった規模だけの判断ではなく、実際にどのような体制で家づくりを進めているのかを確認することが、後悔を防ぐ第一歩になると私たちは考えています。
家づくり勉強会や個別相談の場でお話ししていると、「大手のハウスメーカーなら、さすがに間違いはないだろう」というお声を伺うことがあります。もちろん、企業として一定の基準や仕組みを持っている会社が多いのは事実です。
ただ、実際に工事を担当するのは、その地域の職人や協力業者であることがほとんどで、現場ごとの管理体制や担当者の経験によって、対応の質に差が出ることは十分に考えられます。規模の大きさは安心材料のひとつにはなり得ても、それだけで判断できるものではない、と、これまでの経験から感じています。

どんなトラブル・クレームが多いのか。よくある不具合の傾向
新築住宅で多い不具合事象
次に気になるのは、具体的にどのような内容の相談が多いのかという点です。同じく住宅相談統計年報2025によると、新築の戸建て住宅に関する相談で最も多い不具合事象は「ひび割れ」で、次いで「雨漏り」「性能不足」が多いという結果が出ています。これらは、完成した見た目だけでは分かりにくく、住み始めてから、あるいは点検の際に発覚しやすい内容です。

また、公的統計とは別に、民間のホームインスペクション(住宅診断)会社が実施した調査も参考になります。株式会社さくら事務所が2025年に行った新築一戸建てのホームインスペクション調査(全1,370件)では、何らかの不具合が指摘された住宅の割合は82.0%で、前年の76.4%から上昇したと発表されています。部位別では、窓やドアなどの「開口部等」が47.7%、「基礎・床下面」が35.5%、「外壁仕上げ」が31.9%という結果でした。
こちらは特定の民間会社が自社の検査データをもとにまとめた調査であり、住宅業界全体を代表する数値ではありませんが、完成後には見えなくなる部分に不具合が集中しやすい傾向は、公的統計とも共通しています。

トラブルの内容を整理すると、次のようなものが挙げられます。
- 構造や仕上げに関する不具合(ひび割れ、雨漏り、傾きなど)
- 断熱・気密など、住んでからの体感が期待と異なるケース
- 契約内容や追加費用に関する説明不足によるトラブル
- 工期の遅れや、工事中の連絡・報告の少なさ
- 引き渡し後の点検対応や保証内容に関する行き違い
こうした内容は、工事中や引き渡し前後に確認しておくことで、防げる、あるいは早期に対処できるものも少なくありません。何が起こりやすいのかを事前に知っておくこと自体が、家づくりにおける一つの備えになります。
見落とされやすい、契約・費用に関するトラブル
特に見落とされやすいのが、契約内容や追加費用に関するトラブルです。住宅会社選びのご相談の中では、契約後に想定していなかった費用が発生したり、標準仕様だと思っていた設備が実はオプションだったりして戸惑われたというお話を伺うことがあります。
こうした行き違いは、悪意があって起こるというよりも、初回の説明段階で「どこまでが標準で、どこからが追加になるのか」が十分に共有されていないことが原因になっているケースが多いように感じます。金額や仕様に関わる内容は、口頭の説明だけで終わらせず、書面やメールなど、後から確認できる形で残しておくことをおすすめします。

クレームにつながりやすい住宅会社・担当者の傾向
建築工房いろはが感じてきた、共通するパターン
ここからは、統計データだけでなく、建築工房いろはの代表として、家づくり勉強会や個別相談の場で実際にご夫婦から伺ってきたお話をもとに、私なりに感じている傾向をお伝えします。特定の会社を指しているものではなく、あくまで一般的な傾向としてお読みいただければと思います。
これまで、他社で契約を進めていたけれど、途中で不安になって建築工房いろはの相談会にいらっしゃったという方に、何度もお会いしてきました。そうした方々からお聞きする内容には、いくつか共通するパターンがあるように感じています。
- 質問に対する答えが曖昧で、後になって「言った・言わない」の食い違いが起きやすい
- 標準仕様とオプションの境界がはっきりせず、見積りの根拠が分かりにくい
- 契約を急かされているように感じる場面がある
- 担当者が途中で何度も変わり、これまでの相談内容がうまく引き継がれていない
- 断熱・気密・耐震などの性能について、具体的な数値で説明してもらえない
- 第三者機関による検査や、施工中の記録について、あまり詳しく触れたがらない
- 定期点検やアフターサービスの内容について、契約前に十分な説明がない
このような傾向は、会社の規模の大小というよりも、社内の体制づくりや、担当者一人ひとりの姿勢によって差が出やすい部分だと感じています。逆に言えば、規模の大きさに関わらず、質問にきちんと数字や根拠で答えてくれるか、記録や検査の仕組みが整っているかを確認することが、信頼できるかどうかを見極める一つの視点になるはずです。

担当者との相性も、大切な判断材料
もう一つ付け加えるなら、担当者との相性も、家づくりを心地よく進められるかどうかに大きく関わってきます。家づくりは、契約してから引き渡しまで、短くても半年から一年ほどのお付き合いになります。その間、疑問や不安をそのつど気兼ねなく相談できる関係かどうかは、性能や価格と同じくらい大切な要素だと私たちは考えています。少しでも「聞きづらいな」「話がかみ合わないな」と感じる場面があれば、それを我慢して進めるのではなく、率直に伝えてみることをおすすめします。誠実な会社であれば、そうした声にきちんと向き合ってくれるはずです。

後悔しないために、今からできること
契約前に確認しておきたいポイント
トラブルを完全に避けられると言い切ることはできませんが、事前に「何を確認しておくべきか」を知っておくことで、リスクを減らすことは十分可能です。契約前に確認しておきたいポイントを整理すると、次のようになります。
| 確認ポイント | 確認する理由 |
|---|---|
| 標準仕様とオプションの範囲 | 見積り時の認識違いを防ぐため |
| 第三者機関による検査の有無 | 完成後に見えない部分の品質を確認するため |
| 性能数値(断熱・気密・耐震等)の根拠 | 感覚ではなく数字で判断するため |
| 保証・点検の内容と期間 | 引き渡し後の安心につながるため |
| 担当者の対応と説明の分かりやすさ | 長い付き合いになる相手かを見極めるため |
こうした確認は、一度に全部を聞こうとすると抜け漏れが出やすいものです。上の表の項目をメモに書き出しておき、相談会や見学会のたびに一つずつ確認していく、という進め方であれば、無理なく整理できると思います。

建築工房いろはでは、こうした確認事項に丁寧にお答えできるよう、全棟での第三者機関による検査や、施工基準書に基づく品質管理、専任担当制による一貫したサポート体制を整えています。とはいえ、こうした確認は、どの会社で家を建てる場合でも、読者の皆さまご自身にとって大切な備えになるものです。1社だけで判断せず、複数の会社の話を聞き比べてみることも、後悔を防ぐうえで有効な方法の一つです。
知識を身につけることも、備えのひとつ
また、こうした確認は、専門知識がないと難しいと感じる方も多いかもしれません。実際、断熱や耐震の数値、資金計画の仕組みなど、初めて家づくりに向き合う方にとっては、聞き慣れない言葉が次々と出てくるものです。
だからこそ私たちは、契約を前提としない「家づくり勉強会」を開催し、家づくりの基本的な知識や、住宅会社を選ぶ際に確認しておきたい視点を、できるだけ分かりやすくお伝えするようにしています。知識を持ったうえで会社を選ぶことができれば、それだけで多くの行き違いを未然に防ぐことができると考えています。

この記事のまとめ
住宅業界には、公的機関にも年間3万件を超える相談が寄せられており、トラブルは会社の規模にかかわらず起こり得るものです。大切なのは、「大手だから」「地元の会社だから」という規模だけの判断ではなく、実際の体制や担当者の対応姿勢を、ご自身の目で確認することです。
- 住宅相談は公的機関にも年間3万件以上寄せられており、住宅のトラブルに関する相談が全体の6割を占める
- 新築住宅では「ひび割れ」「雨漏り」「性能不足」など、見えにくい部分の不具合が多い傾向にある
- クレームにつながりやすい会社には、説明の曖昧さや、性能・検査に関する情報開示の少なさといった共通点が見られる
- 標準仕様の範囲、第三者検査の有無、性能数値の根拠は、契約前に必ず確認しておきたいポイント
- 分からないことは我慢せず、複数の会社を比較しながら、納得できる相手を見極めることが大切
家づくりは、一生に一度と言われる大きな決断だからこそ、不安な気持ちになることもあると思います。ただ、今回ご紹介したような視点をあらかじめ知っておくだけで、会社選びの際に「何を聞けばいいか分からない」という不安は、かなり軽くなるはずです。ぜひ、楽しみながら、そして安心しながら、理想の住まいづくりを進めていっていただければと思います。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
引用元・参照元
- 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025 -2024年度の住宅相談と紛争処理の集計・分析- 報道発表資料」
https://www.chord.or.jp/assets/NewsRelease_NP2025..pdf - 公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」
https://www.chord.or.jp/assets/NP2025_web..pdf - 株式会社さくら事務所「【2025年統計】新築一戸建て不具合指摘率、前年比5.6ポイント増の82.0%」プレスリリース
https://prtimes.jp/main/html/rd/p/000000115.000002667.html
※本記事で紹介した相談件数・不具合傾向のデータは、公益財団法人住宅リフォーム・紛争処理支援センター「住宅相談統計年報2025」(2024年度分、2025年9月発行)に基づいています。今後、新しい年度の年報が発行された場合、数値が更新される可能性があります。最新の情報は、同センターの公式サイトをご確認ください。
※本記事は執筆時点の情報です。統計データや制度の内容は、今後変更・更新される場合があります。最新の内容は、各引用元の公式ページをご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. 大手のハウスメーカーであれば、クレームは少ないのでしょうか。
A. 会社の規模とクレームの多さが、必ずしも比例するとは限らないと考えられます。実際の工事は地域の職人や協力業者が担うことも多いため、現場ごとの管理体制や担当者の対応によって差が出ることもあると言われています。規模だけで判断せず、検査体制や説明の丁寧さなど、中身の部分を確認してみることをおすすめします。
Q2. 契約前に、最低限どんなことを確認しておけば安心ですか。
A. 標準仕様とオプションの範囲、第三者機関による検査の有無、断熱・耐震などの性能数値の根拠、保証や点検の内容を確認しておくと、後々の行き違いを防ぎやすくなります。難しく感じる場合は、遠慮なく担当者に質問していただいて大丈夫です。
Q3. 担当者との相性に少し不安を感じています。どうすればよいでしょうか。
A. その違和感は、大切なサインかもしれません。家づくりは長いお付き合いになりますので、疑問に感じたことは率直に伝えてみてください。それでも解消されない場合は、他の会社の話も聞いてみることで、比較の中で見えてくるものもあると思います。
Q4. トラブルは、工事中と引き渡し後、どちらで起こりやすいですか。
A. 工事中の説明不足や、引き渡し後の点検・保証対応に関する行き違いなど、どちらの場面でも起こり得ます。工事の節目ごとに、写真や記録を残してもらえる会社かどうかを確認しておくと、後から振り返りやすくなります。
Q5. 家づくりの基礎知識は、どこで身につければよいですか。
A. まずは、契約を前提としない勉強会や相談会に参加してみるのがおすすめです。建築工房いろはでも「家づくり勉強会」を定期的に開催し、家づくりの基本や会社選びの視点を分かりやすくお伝えしています。何から始めればよいか分からないという段階でも、お気軽にご参加いただけます。
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今回は、住宅業界の相談・トラブルの実態と、会社選びの際に確認しておきたい視点についてお伝えしました。とはいえ、断熱や耐震の数値、標準仕様とオプションの違いなど、ご自身だけで判断するのは難しいと感じる方も多いと思います。
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