こんにちは。姫路市を中心に注文住宅やリノベーションを手がける工務店、建築工房いろは代表の大島です。
「新築の家なのに、不具合が見つかることなんてあるの?」多くの方が、そう感じるかもしれません。少し前に、住宅診断(ホームインスペクション)などを行う株式会社さくら事務所が、新築一戸建ての完成時に見つかった不具合についての調査結果を公表しました。
そこに示されていた数字を見て、正直なところ「思っていたより多いな」と感じました。
家づくりを検討していると、間取りやデザイン、設備の充実度にはどうしても目が向きがちです。ですが、実際に長く安心して暮らせるかどうかを左右するのは、完成してしまえば目に見えなくなる部分の品質です。
今回は、この調査結果をもとに、新築住宅にどのような不具合が起こりやすいのか、なぜ起こってしまうのか、そして住宅会社を選ぶときにどんな点を確認しておくと安心につながるのか、できるだけ専門用語をかみ砕いてお伝えしていきます。
デザインや設備選びも、もちろん大切です。ただ、何より大切なのは「長く安心して住み続けられること」。そんな視点で、最後までお付き合いいただければうれしいです。

新築住宅の不具合、実態はどうなっているのか
「新築だから、不具合なんてほとんどないだろう」——そう思っている方は、実は少なくありません。
ですが、株式会社さくら事務所が2025年に実施した新築一戸建てホームインスペクション(全1,370件)の調査結果を見ると、何らかの不具合が指摘された住宅は全体の82.0%にのぼります。2024年の76.4%から、5.6ポイントの上昇です。
検査部位別に見る、指摘の多い箇所
検査部位別に見ると、指摘率が高かった箇所は次の通りでした。
・開口部等(窓・ドア):47.7%(開閉時のガタつき、隙間の左右差、異音など)
・基礎・床下面:35.5%(ひび割れ、骨材が偏る「ジャンカ(豆板)」現象など)
・外壁仕上げ:31.9%(表面の欠け、ひび割れ、膨らみ、反りなど)

窓やドアの建付けは、日々の生活の中でも気づきやすい部分です。一方、基礎や床下面は、意識して見に行かなければまず気づけません。
それでも一定の割合で指摘があるという事実は、少し気に留めておいていただきたいところです。基礎や床下は、住まいを長く支える根幹部分にあたりますから、その状態は暮らし始めてからの安心感にも関わってきます。
1戸あたりの指摘数と、時期による違い
1戸あたりの指摘数は、平均16.7箇所、中央値15.0箇所でした。平均値は2024年の15.9箇所から増えていますが、中央値は2024年と同じ15.0箇所で、こちらは大きく変わっていません。
数字の変化を丁寧に見ていくと、「平均が増えた」からといって「どの住宅でも一律に不具合が増えた」というわけではないこともわかります。
同社の分析によると、2025年は7月から11月にかけて指摘率が高い水準で推移しており、背景として同年4月の建築基準法改正にともなう審査プロセスの変化や、工期スケジュールへの影響が考えられるとのことです。
あくまで同社による分析・推測であり、すべての住宅会社や物件に当てはまるわけではありません。ただ、「新築だから安心」と単純には言い切れない現実があることは、知っておいて損はないはずです。
「不具合」といっても、程度はさまざま
ここでいう「不具合」には、住まいの安全性に関わる重大なものから、経年でも起こりうる軽微な仕上げのムラまで、さまざまな段階のものが含まれています。
指摘があったからといって、すぐに大きな心配につながるわけではありません。大切なのは、そうした不具合が見つかったときに、きちんと確認し、直せる体制が整っているかどうかです。
窓やドアの開閉時のガタつきといった、生活の中で気づきやすい不具合は、比較的早い段階で補修につながります。一方で基礎や床下は、専門家による点検の機会がなければ、長い間気づかれないままのこともあります。
この違いは、意外と見落とされがちです。だからこそ、数字だけでなく、その中身にも目を向けてみてください。

なぜ、完成した家に不具合が出てしまうのか
性能や品質は、「計算上の数値」と「実際の施工品質」、両方がそろってはじめて完成するものです。断熱性能や耐震性能は、設計段階で計算によって算出された数値です。
ただ、その数値どおりの性能が本当に発揮されるかどうかは、現場での施工精度に大きく左右されます。
工程が多いほど、確認すべきことも増える
木造住宅づくりには、基礎工事、構造体の組み立て、断熱・気密施工、防水処理、内外装仕上げなど、非常に多くの工程があり、それぞれに多くの職人が関わっています。工程が多いということは、確認すべきポイントもそれだけ多いということです。
特に基礎の配筋や断熱材の充填、防水下地は、完成後には壁の中や床下に隠れてしまい、住んでからでは目視での確認が難しくなります。

数値どおりの性能が、出にくいこともある
個別相談の場では、他社ですでに家を建てられた方や、これから住宅会社を検討されている方から、「性能の数値は聞いていたのに、実際に住んでみると思っていたほど快適に感じない」というお話をうかがうことがあります。
これは計算上の性能値が誤っているというより、施工段階での気密処理や断熱材の充填にわずかなムラがあり、想定どおりの性能が発揮されにくくなっているケースが少なくないためです。

見えない部分こそ、複数の目でチェックする
だからこそ、自社による現場チェックに加えて、利害関係のない第三者機関による検査を取り入れる、という考え方が意味を持ちます。
確認する視点をいくつも持つことで、見落としのリスクは減らしやすくなります。住宅会社を選ぶ際の判断材料として、覚えておいて損はありません。
あわせて、気密性能などを完成時にも実際に測定しているかどうかも、計算値と実測値のズレを把握するうえで、確認しておきたいところです。
気密測定は、断熱材の施工が終わった中間段階で行うケースが一般的ですが、中間段階の数値と、建具や設備まで仕上がった完成時の数値は、必ずしも同じとは限りません。
建築工房いろはでは、中間時と完成時の全棟2回、気密測定を実施し、実際の暮らしに近い状態での数値まで確認するようにしています。

見えない部分の不具合は、発見が遅れるほど補修の手間も費用もふくらみやすくなります。壁を開けなければ直せない箇所も多いため、早い段階で気づける仕組みがあるかどうかは、住み始めてからの安心感を大きく左右します。
住宅会社選びで、確認しておきたいチェックポイント
「品質をどう担保しているか」——契約前に、ぜひ一度質問してみてください。営業担当者の人柄や提案力ももちろん大切な要素ですが、完成後には見えなくなる部分こそ、事前に確認しておくことが安心材料になります。
契約前に確認しておきたい5つの項目
住宅会社選びの現場では、間取りや設備の打ち合わせに時間を使うあまり、検査体制や性能の裏付けについて質問する機会をあまり持てないまま契約に進んでしまう、というケースをよく見かけます。
決して珍しいことではないのですが、後になって「もう少し詳しく聞いておけばよかった」と感じる方も少なくありません。以下のような項目は、少し聞きにくく感じても、遠慮なく質問してよい内容です。

| 確認項目 | 確認のポイント |
|---|---|
| 第三者検査の有無 | 実施の有無、検査の回数、検査するタイミング |
| 検査記録の保管 | 写真付きの記録が残るか、引き渡し後も確認できるか |
| 構造計算の方法 | 簡易な壁量計算か、より精密な許容応力度計算か |
| 性能の実測 | 気密性能(C値)などを中間時・完成時に2度実測しているか |
| 保証・点検体制 | 保証期間、定期点検の頻度、有償・無償の区分 |
特に差が出やすい、構造計算と気密性能
構造計算については、同じ「耐震等級3」という表示であっても、計算方法によって精度に差が出る場合があります。壁量計算は比較的簡易な確認方法である一方、許容応力度計算は構造の強さをより詳細に積み上げて確認する方法です。
どちらの方法を採用しているかは、住宅会社によって異なりますので、確認しておくと安心です。気密性能についても、設計上の計算値だけでなく、完成後に実際の数値を測定しているかどうかで、住まいの快適性の裏付けは変わってきます。

こうした項目は、パンフレットやウェブサイトだけではなかなか分かりません。個別相談の場などで、直接質問してみることをおすすめします。誠実に答えてくれるかどうかも、住宅会社との相性を見極めるひとつの手がかりになるはずです。
建築工房いろはが大切にしている、品質への向き合い方
建築工房いろはでは、「完成したら終わり」の家づくりはしていません。工事中の一つひとつの工程を、きちんと記録として残すことを大切にしています。
自社による現場チェックに加えて、第三者検査機関である株式会社家守りによる検査を導入し、基礎配筋検査や構造体・金物検査、防水下地検査など、完成後には見えなくなる重要工程を中心に、自社基準で7回、最大10回の検査を実施しています。
写真付きの記録と、構造計算・気密性能の実測
検査結果はすべて写真付きで記録し、検査日時や指摘事項、是正内容とあわせて報告書にまとめ、長期にわたって保管しています。将来の点検やメンテナンスの際に、そのまま資料として活用できるようにするためです。
あわせて全棟で許容応力度計算による構造計算を行い、耐震等級3を標準としているほか、気密性能についても全棟で実測を行い、数値を根拠にお伝えするようにしています。

引き渡し後も続く、点検と長期保証
品質への向き合い方は、完成時点で終わるものでもありません。お引き渡し後も、3ヶ月・6ヶ月・1年・2年・5年・10年・15年の節目で無償の定期点検を実施し、その後も一定の条件のもとで有償点検を続けられる体制を整えています。
初期20年・最長60年の建物保証や、20年間の地盤保証など、長期的に住まいを見守る仕組みも標準でご用意しています。住み始めてから何年も経つと、連絡するのは気が引ける、という声を耳にすることもあります。
そうした節目ごとの点検の機会があることで、気になる点を相談しやすくなればと考えています。
これらの取り組みで、不具合の発生を完全にゼロにできるとお約束するわけではありません。ただ、性能や品質は「言葉」ではなく「仕組みと記録」で示すべきものだと、私たちは思っています。
家づくりを検討される際は、こうした品質管理の考え方も、比較の視点のひとつに加えていただければと思います。
誰が担当しても、一定水準を保てる体制へ
施工を担う職人についても、社内・社外を問わず一定の基準を満たした大工を採用し、協力業者とも品質基準を共有したうえで、施工にあたっています。
誰が担当しても一定水準の品質を保てるようにすること。それも、見えない部分の品質を支える大切な要素です。小さなことのようで、実は住まいの寿命を左右する部分だと感じています。

この記事のまとめ
新築住宅であっても、何らかの不具合が見つかるケースは一定数あります。それが、今回ご紹介した調査結果からわかる実態です。そのため住宅会社を選ぶときは、デザインや設備だけでなく、「見えない部分をどう管理しているか」にも目を向けていただきたいと思います。
☑新築住宅でも、何らかの不具合が指摘されるケースは珍しくない
☑性能は「計算値」であり、実際の品質は施工精度に左右される
☑完成後に見えなくなる部分こそ、第三者検査の有無を確認する価値がある
☑構造計算の方法や性能の実測有無は、契約前に質問してよい内容
☑検査体制や記録の残し方、点検・保証の続き方は、住宅会社によって考え方に違いがある
これから住宅会社を検討される方は、まずは今回のチェックポイントを頭の片隅に置きながら、いくつかの会社の話を聞き比べてみることから始めてみてください。
焦らず、比べながら進めていくことが、納得のいく家づくりへの一番の近道だと思います。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
引用元・参照元
・株式会社さくら事務所「【2025年統計】新築一戸建て不具合指摘率、前年比5.6ポイント増の82.0%!建築基準法改正による工期圧迫と現場の混乱が要因か」NEWS LETTER(2026年3月3日発行)
https://www.sakurajimusyo.com/wp-content/uploads/2026/02/904156248f82d4755a3456794d6f865e.pdf
・株式会社さくら事務所 公式サイト
https://www.sakurajimusyo.com/
※本記事は執筆時点(2026年9月29日)の情報です。統計データや制度・基準等は今後変更される場合がありますので、最新の情報は各公式情報をご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. 新築住宅なら、不具合はほとんどないと思っていたのですが、違うのでしょうか?
A. 「新築だから安心」というイメージをお持ちの方は多いと思います。ただ、今回ご紹介した調査結果のように、何らかの不具合が見つかるケースは一定数あるとされています。
とはいえ、不具合の多くは補修できる範囲であることが多く、過度に不安になる必要はありません。大切なのは、事前にどのような検査体制を取っている会社なのかを、知っておくことです。
Q2. 第三者検査を入れていない会社は、信頼できないということでしょうか?
A. そのようなことはありません。自社検査を丁寧に行い、高い品質を実現している会社もたくさんあります。
ただ、確認の視点を増やすという意味では、第三者検査を取り入れているかどうかも、比較検討する際のひとつの判断材料にはなります。気になる場合は、検査体制について直接確認してみるとよいと思います。
Q3. 気密性能や耐震性能の数値は、どこまで信じてよいのでしょうか?
A. 設計段階の数値は、あくまで計算上のものです。完成後に実測を行っているかどうかで、その数値の裏付けの強さは変わってきます。気になるときは「気密測定は実施していますか」「実測値はどのくらいですか」と聞いてみると、より具体的な安心材料になるはずです。
Q4. 住宅会社に検査体制のことを聞くのは、失礼にあたりませんか?
A. まったく失礼にはあたりません。むしろ、長く安心して住み続けるための大切な確認事項です。遠慮なく聞いていただいて大丈夫です。
多くの住宅会社では、こうした質問にも丁寧に説明してくれるはずですから、気になる点は率直に聞いてみてください。
Q5. すでに他社で契約を検討中なのですが、相談してもよいのでしょうか?
A. もちろんご相談いただけます。セカンドオピニオンとして、比較検討中の内容についてお話を伺うことも可能です。無理に契約をお勧めするようなことはいたしませんので、気になる点があれば、まずは気軽にお声がけください。
建築工房いろはの施工エリアについて
建築工房いろはでは、姫路市、加古川市、明石市、神戸市、たつの市、太子町、高砂市、相生市、加東市、加西市、宍粟市、播磨町、福崎町を中心に、家づくりのご相談を承っています。施工可能エリアの詳細については、お気軽にお問い合わせください。
ご相談・お問い合わせについて
「住宅会社選びで、何を基準にすればいいのか分からない」という方には、建築工房いろはの家づくり勉強会がおすすめです。品質管理の考え方や住宅会社選びのポイントについても、分かりやすくお伝えしています。もちろん、まずは情報収集からで大丈夫です。気になる点があれば、個別相談やオンライン相談でも承っていますので、お気軽にご連絡ください。