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こんにちは。姫路市を中心に注文住宅を手掛ける工務店、建築工房いろは代表の大島です。
日々の家づくりのご相談の中から、収納について感じていることをお伝えします。
家づくりを考え始めると、必ずといっていいほど話題にのぼるのが「収納」です。「とにかく収納は多いほうが安心」「後から後悔したくないから、できるだけ広くとっておきたい」——そんなお気持ちで打ち合わせに臨まれるご夫婦は、決して少なくありません。
実際、収納の量に対する不安は、私たちが間取りの検討段階でとても多くいただくご相談のひとつです。
一方で、収納を増やせば増やすほど床面積が増え、建築費用にもそのまま影響してくるのが実情です。「収納は多いほうが良い」という気持ちと、「予算内にきちんとおさめたい」という気持ちの間で、どこまで収納にスペースを割けばよいのか迷われる方も少なくありません。

今回は、大手住宅メーカーが実施した調査結果を参考にしながら、収納量のひとつの目安と、コストをかけすぎずに満足度の高い収納をつくるための考え方についてご紹介します。数字だけを鵜呑みにするのではなく、ご自身のご家庭に置き換えて考えていただけるよう、実際の判断材料としてお役立ていただければと思います。
収納は「多ければ多いほど良い」わけではありません
収納は、広ければ広いほど暮らしやすくなるのでしょうか。実は、ある一定のラインを超えると、満足度はそれほど変わらなくなることが調査からわかっています。
「収納率」という指標で考える
住まいの収納量を考えるときの目安としてよく使われるのが「収納率」という指標です。収納率とは、収納スペースの床面積を、家全体の延床面積で割った割合のことを指します。
たとえば延床面積35坪の住まいのうち、収納にあたる部分が5坪であれば、収納率はおよそ14%程度という計算になります。これはあくまで計算のイメージをお伝えするための一例で、実際の広さは間取りやご家庭の持ち物量によって変わってきます。
数字だけを聞くと少なく感じられるかもしれませんが、この「14%前後」というラインには、ちゃんと根拠となるデータがあります。

積水ハウスの調査からわかること
大手住宅メーカーである積水ハウスが、自社のオーナー様を対象に実施した調査では、約400邸分の間取りと収納の満足度が比較されました。
その結果、収納率が高くなるほど満足度も高くなる一方で、満足度は収納率14〜16%あたりで頭打ちとなり、それ以上収納率を高めても満足度は大きくは変わらなかったことが報告されています。
同調査では、収納の問題は面積や量だけでは解決せず、しまいやすさや見渡しやすさといった使い勝手のよさも重要な要素であると指摘されています。
日々の打ち合わせで感じていることとも重なる部分が多く、なるほどと納得させられるデータです。
同じ「収納量調査」のシリーズの中では、2008年と2019年の結果を比較した別の集計も紹介されています。タンスを持たない世帯は2008年には12.4%前後だったのに対し、2019年には36.4%へと約3倍に増えた一方で、ウォークインクローゼットは2019年時点でほぼ標準的な設備になっていたということです。
衣類の収納の仕方ひとつをとっても、暮らし方はここまで変わるものかと驚かされます。家具として大きな箪笥を置くのではなく、はじめから収納スペースとして間取りに組み込んでおく、という考え方が広がってきているのかもしれません。

私たちが姫路・播磨エリアでご相談をお受けする中でも、似た傾向を感じることがよくあります。特に子育て中のご家庭では、家具を極力置かずにすっきりと暮らしたいというご希望をいただくことが増えており、収納をあらかじめ建物側に計画しておく重要性は、年々高まっているようです。
建築工房いろはが考える収納量の目安
とはいえ、この「14〜16%」という数字を絶対の正解として捉えすぎないでいただければと思います。ご家族の人数や趣味、将来のお子さまの成長など、条件によって心地よく感じる収納量には幅があるからです。
それでも、収納の検討を始める前にこうした一つの目安を知っておくと、「なんとなく広く」ではなく、根拠を持って収納量を考えられるようになるのではないでしょうか。
建築工房いろはでも、打ち合わせの初期段階でこの考え方をお伝えしながら、面積とコストのバランスを一緒に整理させていただいています。
そもそも収納率という数字は、あくまで面積の割合にすぎません。収納する物の重さや大きさ、出し入れの頻度までは表していないのです。同じ収納率であっても、棚の高さや奥行き、扉の形状によって使い勝手は大きく変わります。

数字はあくまでスタート地点として活用しつつ、最終的にはご家庭の暮らし方に合わせて調整していく。そんな進め方を私たちは大切にしています。
収納を増やすほどコストが上がる、見落としがちな理由
収納を増やせば、その分だけ建築費用も上がります。当たり前のようですが、打ち合わせの中では意外と見落とされがちなポイントです。
収納にも坪単価があたりまえにかかる
収納スペースであっても居室と同じように床面積としてカウントされ、坪単価に応じたコストがかかるためです。「収納だから安いはず」と思われがちですが、実際には建物全体の面積に含まれる以上、増やせば増やすほど総額に反映されていきます。
もちろん、坪単価の考え方は住宅会社やプランによって幅がありますので、詳しくは打ち合わせの中でご確認いただくのが安心です。
「収納はとりあえず多めに」という考え方だけで進めてしまうと、予算全体のバランスを崩してしまうこともあるので注意が必要です。

現場でよくある収納の失敗例
現場でよくご相談いただく失敗例には、次のようなものがあります。
・大きな納戸をつくったものの、奥のものが取り出しにくく、結局手前だけにものが集中してしまった
・大容量のウォークインクローゼットをつくったが、家族の生活動線から離れていて、使う頻度が下がってしまった
・「とりあえず広く」と決めた収納が、後から見ると何をしまうためのスペースか曖昧なまま出来上がってしまった
・収納量を優先しすぎて、リビングや水回りなど日々過ごす空間が想定より狭くなってしまった

こうした失敗の多くは、収納の「量」が足りなかったのではありません。「どこに」「何を」しまうかという計画が事前に整理されないまま、なんとなく広さだけを決めてしまったことが原因になっているケースがほとんどです。
先ほどの調査結果が示すとおり、収納は量を増やすだけでは満足度につながりません。しまう物の種類や量、取り出しやすさ、家族の動きに合った位置にあるかどうかが、暮らしやすさを大きく左右します。
もうひとつ、収納には「作った後に減らす」ことが難しいという特性があります。一度建ててしまうと、間取りを大きく変えるにはリフォームの費用と手間がかかるからです。着工前の計画段階で、暮らし方に合った量と配置をしっかり検討しておくこと。これが、住み始めてからの満足度を左右する大きな分かれ道になります。
反対に、必要な収納が見えないまま着工してしまうと、暮らし始めてから「やっぱり足りなかった」と感じても、簡単には手を加えられません。事前の整理にかける時間は、決して無駄にはなりません。
「使い方から逆算する」という考え方
私たちがヒアリングの中で繰り返しお伝えしているのは、「収納は面積ではなく、使い方から逆算して考えるもの」という考え方です。面積の数字から入るのではなく、暮らしの場面から入る。それだけで、出来上がる収納の質は大きく変わってきます。
玄関にはどのくらいの靴やアウトドア用品を収納したいか、キッチンにはどの程度の食品ストックを置きたいか、寝室にはどのくらいの衣類をかけておきたいか——こうした具体的な使い方をひとつずつ整理していくことで、必要な収納の種類と広さが自然と見えてきます。

むやみに面積を広げるのではなく、必要な場所に、必要な分だけ計画すること。コストと満足度の両方を無理なく両立させるには、これがいちばんの近道だと思っています。
後悔しない収納計画のつくり方
後悔の少ない収納づくりのポイントは、突き詰めれば「収納する物」と「使う場所」をセットで考えることに尽きます。ここでは、私たちが実際の打ち合わせで大切にしている進め方をご紹介します。
「どこに何をしまうか」を先に決める
まず取り組んでいただきたいのが、「どこに何をしまうか」を先に決めることです。衣類、日用品のストック、掃除道具、季節家電、子どものおもちゃ、趣味の道具など、ご家庭によってしまいたい物の種類も量も大きく異なります。
間取りを決める前の段階で、持ち物の種類とおおよその量を一緒に整理しておくと、「収納が足りなかった」「使わないスペースができてしまった」といったズレを防ぎやすくなります。
打ち合わせの中で持ち物を書き出していただくと、ご夫婦それぞれで思っていた収納の使い方が違っていた、というケースも少なくありません。早い段階ですり合わせておくことが、住み始めてからのすれ違いを防ぐことにもつながります。

使う場所の近くに収納する「分散収納」
もうひとつ大切なのが、「分散収納」という考え方です。すべての物を一箇所にまとめて収納するのではなく、使う場所の近くに、使う物を収納するという発想です。よく使う配置を整理すると、次のようになります。
| 収納の種類 | 主な用途 | 配置の考え方 |
|---|---|---|
| 玄関土間収納 | 靴・アウトドア用品など | 玄関から直接出し入れできる位置に |
| パントリー | 食品ストックなど | キッチンに隣接させ、買い物後の動線を短く |
| ファミリークローゼット | 家族全員分の衣類 | 洗面・脱衣室と隣接させ、洗濯動線をまとめる |
| ウォークインクローゼット | 普段使いの衣類 | 寝室からの動線を短く配置 |
先にご紹介した積水ハウスの記事でも、玄関まわり・リビングまわり・寝室まわりの3か所に収納をまとめて計画する考え方が紹介されており、収納の「量」「場所」「形」をセットで考えることの大切さが述べられていました。私達も、これと近い発想で、ご家庭ごとの暮らし方に合わせた収納配置をご提案しています。
こうして使う場所ごとに収納を分散させると、一つひとつのスペースを必要以上に大きくしなくても、暮らし全体としては使いやすさがぐんと高まります。結果として、面積を抑えながら満足度の高い収納計画につなげやすくなるのです。
実際、玄関からパントリーを経てキッチンに抜けられる動線や、ランドリールームとファミリークローゼットを隣接させた洗濯動線は、共働きのご家庭からとても好評をいただく配置です。
荷物を持ったまま長い距離を歩かずに済む——そんな日々の小さな負担の軽さが、暮らし始めてからの満足度につながっているのだと思います。

お子さまの成長や暮らし方の変化にともなって、必要な収納の形も少しずつ変わっていきます。小さいうちはおもちゃ収納が中心でも、成長すれば学用品や趣味の道具に変わっていくものです。
将来的に棚の高さや仕切りを調整できるようにしておくなど、少し先の暮らしまで見据えて計画しておくのも、長く快適に使い続けるための知恵だと感じます。
建築工房いろはの収納計画の進め方
建築工房いろはでは、間取りのご提案に入る前のヒアリングの段階で、持ち物の量や暮らし方について丁寧にお伺いし、「どこに」「何を」「どのくらい」収納したいかを一緒に整理していきます。
そのうえで、洗濯動線やキッチン動線、玄関からの動きなど、実際の生活動線に沿った収納の配置をご提案するようにしています。
図面上の広さだけで判断するのではなく、そこで暮らす場面を想像しながら一緒に考えていく。収納は間取りが決まってから後付けで考えるものではなく、暮らし方そのものを設計する工程の一部だと、私たちは捉えています。

打ち合わせの回数に制限を設けず、疑問点をひとつずつ解消しながら進められる体制を整えているのも、こうした細かな収納計画をご夫婦それぞれのご意見を伺いながら丁寧に詰めていくためです。
この記事のまとめ
収納は、量を増やせば増やすほど満足度が上がるものではありません。積水ハウスの調査でも、満足度は収納率14〜16%前後で頭打ちになる傾向が示されており、大切なのは面積そのものよりも「どこに何をしまうか」という計画性にあると言えそうです。
☑収納率の目安は14〜16%前後だが、絶対の正解ではなく一つの参考値として捉える
☑収納スペースも坪単価がかかるため、増やすほどコストに直結しやすい(詳しい考え方は住宅会社ごとに異なります)
☑よくある失敗の多くは「量不足」ではなく「計画不足」から生まれている
☑「どこに何をしまうか」を間取り作成前に整理しておくとズレを防ぎやすい
☑使う場所の近くに収納をまとめる「分散収納」で、面積を抑えながら使いやすさを高められる
収納は、間取りが完成してから考える付属的な要素ではなく、暮らし方そのものを設計する大切な工程のひとつです。まずはご自身のご家庭で「何を」「どのくらい」しまいたいのかを、ご夫婦で少し話し合ってみることから始めてみてはいかがでしょうか。
※本記事には、内容理解を助ける目的で一部AI生成画像を使用しています。
引用元・参照元
・積水ハウス株式会社「収納率14%の壁?衣替えを機会にバランスを意識した「収納」を」(積水ハウス ストーリー/発表日:2022年9月30日)
https://www.sekisuihouse.co.jp/company/stories/20220930/
※本記事で紹介した収納率・タンス保有率などのデータは、積水ハウス株式会社が2022年に公表した調査結果(2008年・2019年実施分)に基づくものです。住まい方の変化により、最新の傾向とは異なる場合がありますので、あらかじめご了承ください。制度や統計データは変更されることがありますので、最新情報については上記引用元にてご確認ください。
よくある質問<FAQ>
Q1. 収納は結局、何坪くらい確保すればよいのでしょうか?
A. 目安として、延床面積に対して14〜16%前後の収納率が一つの参考になるとされています。ただし、これはあくまで平均的な傾向を示すデータであり、ご家族の人数や持ち物の量によって心地よく感じる広さは変わってきます。まずはこの数字を出発点として、実際の持ち物量と照らし合わせながら整理していただくと、無理のない判断がしやすくなるかと思います。
Q2. 収納は多いほうが将来的にも安心な気がするのですが、増やしすぎると良くないのでしょうか?
A. お気持ちはとてもよくわかります。ただ、収納スペースを増やすほど建築コストも上がっていく場合が多いため、「多ければ安心」とは一概には言えないこともあります。大切なのは量よりも、しまいやすさや配置が暮らしに合っているかどうかです。まずは何をどこにしまいたいかを整理してみることをおすすめしています。
Q3. 収納の配置は、どのタイミングで決めればよいですか?
A. できるだけ間取りのプランニングが始まる前の段階で、持ち物の種類や量を整理しておくと、計画がスムーズに進みやすくなります。プランが進んでからの変更は難しい場合もありますので、早めにご家庭の暮らし方を話し合っておくと安心です。
Q4. 夫婦で収納に対する考え方が違うのですが、どう整理すればよいでしょうか?
A. 実際に多くのご夫婦で、収納の使い方についてのイメージにズレがあるものです。決して珍しいことではありませんので、心配しすぎなくても大丈夫です。打ち合わせの中で持ち物を一緒に書き出していただくことで、意外な違いに気づき、自然にすり合わせが進むことも多くあります。
Q5. 収納の失敗を防ぐために、事前にできることはありますか?
A. まずは、今のお住まいでどこに何をしまっているか、使いにくいと感じている収納がないかを振り返ってみることが第一歩です。そのうえで、新しい住まいでの暮らし方をイメージしながら整理していただくと、住宅会社との打ち合わせもスムーズに進みやすくなります。一人で抱え込まず、まずは相談の場でお話しいただくと、次の一歩が見えてくるはずです。
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ご相談・お問い合わせについて
収納の考え方は、ご家庭ごとの持ち物や暮らし方によって最適な形が変わってきます。「うちの場合はどのくらいが目安になるのか知りたい」という方は、間取りのご提案の前に、まず個別相談で暮らし方を整理するところから始めていただくことも可能です。今すぐ計画を固めなくても、情報収集の段階でのご相談も歓迎しておりますので、気になる点があればお気軽にお声がけください。